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3/11の大震災から1年。
東北の被災地はすこしずつではあるが復興に着手し始めている。 被災者にとって日本政府のあまりにも遅い対応と動きの鈍さは、これからの新たな生活を迎えるにあたっては大きな不安と化している。復興にあたってのビジョン、将来の自然災害に対する対応策など、国民からの不満は挙げれば限りがない。もちろん東北の被災された方々の心の苦しみは、私たちもマスコミそして現場からひしひしと感じてはいるが、関東のひとにとっても明日は我が身であることを自覚せねばならない。関東に大震災がくれば、同じ状況を迎えることになるのは必至なのだ。 この本は建築家と人類学者(哲学者)の対談集で、以前から積み重ねてきた理論を語っている内容となっている。自然に逆らわない対峙しない建築、自然とともにある建築、そして10万年スパンでみた人の営みを歴史を通じて顧みるときに、ロングスパンの視点を有していないと正しい転換が図れないのだ。 今回の大震災は、ある意味日本人に「生きること」へ再認識のきっかけともなった。この不幸であった震災による悲しみと破壊された街、離ればなれになったひとの心を、あらためて再構築しなくては、この事件を乗り越えることができないことだろう。 東北の復興は急がねばならない反面、正しい道に進んで行かねばならない。その正しい道が何であるかは、政府のトップダウンによるものではなく、当事者からの滲み出る生活感、生活形態、コミュニティーのあり方がしっかりと話し合われた上での実行とならねばならない。 再出発の道は険しいだろうが、東北の新しいコミュニティは日本のこれからのコミュニティの指針となるべきものであることを私たちもしっかりと認識すべきであろう。
by ksarch
| 2012-03-19 14:29
| 本
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